第36号
仙台市若林区役所の海浜エリア活性化企画室は貞山運河を含む海浜地域を活性化させるために誕生した組織です。何を目指しどのような活動をしているのかうかがいました。
若林区海浜エリア活性化企画室
仙台市東部沿岸地域では、これまで、防災集団移転促進事業、農地の大区画化を図るほ場整備、津波避難施設や海岸公園の整備、東部復興道路(かさ上げ道路)建設等、東日本大震災からの復旧・復興に向けた様々な取り組みが進められてきました。
特に、平成29年度からは、防災集団移転跡地の利活用事業者の募集が行われ、令和5年11月には、募集をした全38区画すべての集団移転跡地の利活用事業者が決定し、観光果樹園や温泉等複合施設などの、民間の自由な発想を生かした、新たな誘客・交流施設の立地が進むなど、官民が連携して新たな地域の魅力の創出に取り組んでいる地域です。
私ども、若林区海浜エリア活性化企画室は、概ね仙台東部道路から東側、宮城野区の仙台塩釜港から若林区藤塚及び名取市閖上を含む南北約12kmのエリアを「海浜エリア」と位置付け、このエリアで活躍されている事業者や団体などの多様な主体の方々をつなぎ、区域を越えてネットワーク化することで、新たな賑わいの創出につなげていくことを目的として、令和4年度に若林区役所に発足した部署です。また、宮城野区役所にも同様の目的を持つ組織を立ち上げ、若林区と宮城野区が連携・協力し、様々な取り組みを行っています。
令和5年度には、この地域の魅力を相乗的に高め、広く発信していくことを目的として、市民シンポジウムや関係者へのヒアリングを行い、「海浜エリア活性化ビジョン」を策定しました。
この、「海浜エリア活性化ビジョン」では、「①集いの空間づくり」、「②親水空間としての貞山運河利活用」、『③様々な「つながり」を大きな「つながり」に』、の3つを本市の取り組みの方向性の柱として掲げ、それに基づき事業を企画・展開しております。
具体的には、「①集いの空間づくり」に関連する事業としては、エリアに関する情報を集約し幅広い層へ届けられるよう、海浜エリアの魅力の発信を行うポータルサイトやSNSを活用した情報発信、エリア内の様々な施設やスポットを巡っていただくことを目的として、スマートフォンを用いた「ぐるっと、海手おでかけスタンプラリー」を実施いたしました。
また、柱の2つ目である、「②親水空間としての貞山運河利活用」に関連する事業としては、エリア内を流れる貞山運河(新堀)を、この地域のシンボルの一つとして捉え、令和6年度に、荒浜地区の貞山運河において、親子カヌー体験会や10人乗り手漕ぎボートであるEボート体験会、名取市閖上地区から名取川を横断し、井土地区の貞山運河(新堀)まで乗り入れを行った小型船運航実証事業を実施し、様々な世代の方々に、貞山運河の魅力を体験いただきました。
最後の柱である、『③様々な「つながり」を大きな「つながり」に』に関連する事業としては、この地域で活動されている多様な主体の方々との協働を目標としており、令和6年度には、荒浜地区の事業者と連携し、親子を対象とした防災学習体験会を実施いたしました。

貞山運河に係る令和7年度事業としては、昨年度と同様に、カヌーやEボート体験会、小型船運航実証事業の実施に向け、現在企画・検討を行っており、これらの事業の実施を通じて、貞山運河の魅力を、より多くの人に知っていただけるよう、努めてまいります。
前述をいたしましたが、本市では、海浜エリアを南北に流れる貞山運河(新堀)が、明治時代の物流を支えた歴史的資源、野鳥や水生生物の貴重な生息空間であるとともに、この地域にお住まいだった方々の日々の生活の場であったことを踏まえ、この地域のシンボルの一つとして、行政機関や関係団体と連携しながら親水空間としての利活用を進めていきたいと考えております。
人々が運河に親しみを抱き、身近な存在となるよう、また、カヌーやボート等のアクティビティ、歴史や自然環境の教育の場など、様々な分野のフィールドとして活用されるよう、取り組みを進めます。
貞山運河の利活用は単なる河川の利用にとどまるものではありません。周辺地域の人々の暮らしや文化、歴史、自然環境といった要素を踏まえた検討が必要であり、貞山運河が持つ背景や価値を理解し、それを地域社会にとって意味のある形で生かすことが重要です。そのためには、運河に関わる人々の「生の声」を積極的に聴き、地域の歴史や文化を尊重しながら、新たな活用方法を模索することが大切であり、様々な方のご意見やアイデアを反映させることで、地域に根ざした持続可能な活用策が生まれてくると考えております。
そのため、今後とも、貞山運河ネット様には、引き続き、連携をさせていただきながら、地域資源としての貞山運河を軸とした、地域の活性化に向けたお力添えをいただければと考えております。
私どもとしては、海浜エリアが、国内外を問わず多くの方々に訪問いただける地域となるよう努めてまいりますので、引き続き、ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
会員紹介
阿部正敏 会員

貞山運河ネット会員になったのは震災により大きな被害を受けた北北上運河周辺の地域自治会として県が進める貞山運河再生・復興ビジョンに参加した際に貞山運河ネットの活動を知り共鳴して北北上運河周辺自治会の皆さんの活動が多くの方々に認知していただけたらいいなとの思いから個人として参加しました。
みやぎの運河群は明治から政宗公の時代まで遡る長い歴史のなかでそれぞれの運河が担った役割が映し出されていて興味深いです。
北上運河については貞山運河とは全く時代背景が異なり明治初期に行われた国際港(明治の三大築港)の一つである野蒜築港建設に伴い掘削が行われたと認識しています。木曳堀、御舟入堀、新堀とは時代背景や役割が大きく異なるので興味深いです。
今後のみやぎの運河群の利活用について貴重な土木遺産として知名度を上げて行くべとは思いますが県全体的にも石巻市民の関心も低いのが実情です。貞山運河ネットが実施している活動を通じ、また現在私たちが活動をしている北上運河(すばらしい北北上運河沿線の自然環境を守る協議会)も一緒にこれまでの活動を継続させ行政を動かし民間企業を巻き込んで水質の改善や周辺の整備などに繋げたいなぁと日々模索しています。
現在私が所属している「すばらしい北北上運河沿線の自然環境を守る協議会」は石巻市長を顧問に9の自治会で運営され年間延べ人数700人で3.4㎞運河周辺のごみ拾い除草作業を4月~10月、月2回実施し快適空間を維持しています。
石巻市や民間企業の協力で松並木、桜並木の再生に取り組み毎年松や桜の苗を植樹しトイレの設置、東屋建設等整備を実施。建設省北上川下流事務所、宮城県、石巻市による合同現地調査を毎年実施し地域要望や課題解決の合同会議を実施しています。
(一社)貞山運河ネットに期待することはこれまで通り地道に媒体を通じ我々の活動状況が多くの方々に伝わり理解をして頂き民間企業の参加も呼び掛けて貴重な遺産を更に価値観を高める工夫をして運河群の自治体連携を進めて宮城県や国への働きかけに繋げたいと思っています。
最後になりますが私の趣味は月2回の貞山運河の草刈と週一ゴルフです。
お知らせ
(一社)貞山運河ネット総会が次の通り開催されます。どうぞご参加ください。
出欠などのご通知、議案書は後日差し上げます。
時:5月21日13時30分
所:GC青葉通りプラザ地階
仙台市青葉区一番町2-5-22
現在会員募集中
法人会員目標 200社 (現在31社)
個人会員目標 150名 (現在59名)
賛助会員 現在 9名